五感を使った食事は最大の脳トレ?
「よく噛むと身体にいい」と昔から言われますがこれは単に食べ物が消化しやすくなるからだけではなく、実は、噛むことに五感を刺激する働きがあり、脳のトレーニングなるということがわかってきました。
食べることは人間の五感すべてを同時に刺激できるただ一つの行為です。
本来の食事とは、器や料理の盛り付けを視覚で受け入れ、香りを嗅覚で楽しみ、口に入れたら味覚で味を確かめ、歯ごたえや舌触りを聴覚と触覚を使って感じるもの。
五種類の感覚情報が一気に脳の広範囲を刺激する点で食べることに勝ものはないと言われます。ただし五感が十分に使われない早食い(しっかり噛んで、じっくり味わわない)は「脳を使わない食事」ということになります。
噛むことは顔全体から頭、舌、首、肩まで多くの筋肉が総動員され、それらをコントロールするのが脳です。食事の時に手指や口、顔の筋肉をしっかり使えば、それだけ脳へ送る情報が多くなり、その情報量が多ければ多いほど、脳の働きが活発になることがわかってきました。
”噛めば頭がよくなる”という教えには根拠があったことになります。
噛むことは刺激されるのは、脳の中の筋肉運動に関わる部分(運動野)と、感覚情報を受け取る部分(感覚野)にまたがるわけです。
もう一つ大切なのが食事の場面を楽しむこと。脳の中の扁桃体という部分は「快・不快」などの感情を生み出す部分で「楽しい」「うれしい」という気持ちが強いと記憶力と関係する海馬をしっかり刺激します。
他にも、集中力、意欲、共感力、切り替え力など人間にとって最も高レベルな情報を統括する前頭前野の活動も、噛むことで活発になることがわかり、認知症の予防につながると注目されています。
1人きりで食べる個食や、早食い、携帯電話を手放せない”ながら食べ”では、満足に噛むことも味わうこともできず、想像以上に脳を退化させます。
運動不足になると膝や腰が痛むように、脳も使わなければ機能が衰えます。
食べることを楽しむ!
「噛むこと」と「幸せ感」が両立する楽しい食事シーンは、脳を活発にする刺激が結集する最強の組み合わせです。
2014年3月10日 11:13 AM | カテゴリー:医院からのお知らせ