日本抗加齢医学会総会のご報告
第12回日本抗加齢医学会総会が6月22日~24日、パシフィコ横浜会議センターにて鶴見大学歯学部病理学講座教授斉藤一郎会長の元、「アンチエイジング医学の文明開花」をテーマに開催されました。
日本抗加齢医学会は12年目を迎え、私共が専門医を取得してから7年が経ち、会員数は年々増加、現在は約7300名(内専門医約2200名)を擁する学術団体となりました。今回は文明開化の中心地であった横浜で、抗加齢医学(アンチエイジング医学)が人々の生活を豊かにし、文化レベルまで発展することを目指した大会となりました。
「均質な老化」を目指す学会方針から臓器別、診療科別に細分化別されることなく身体全体包括的にとらえ超高齢化社会である日本国民の健康増進と生活の質向上に役立てるようにと212の演題が発表されました。
中でも圧巻はあと4か月で101歳を迎えられる日野原重明先生の特別講演「抗加齢医学の発展の歴史と私の考えている加齢医学の内容」でした。メイン会場は満杯、立ち見の方も多く熱気あふれる中軽やかな足取り先生は登場されました。
まずは10年先まで講演予定がつまっているとのこと、85歳の時に90歳から10年間のリサーチの内容を考えられ2000年から10年間、75歳から85歳450名を対象に年齢を重ねるにつれ生活習慣などの環境因子が老化に大きな影響を与えることをの指標について調査研究されたことなどを話され会場を湧かせました。
「老化」という生物的概念とは別に「老い」という人間的な概念に言及されました。人間一人一人が「老い」をどう受け止め対処しようとするかの心の問題、生き方の問題として考えるべきと。生き甲斐、使命感や価値観についての思考、自立への勇気ある努力行動、命への愛、希望と祈り(哲学的、宗教的概念を含む)などが真の文明社会の擁立に繋がるとしめられました。
講演の間間に一本足で立たれてバランス能力の話を、また茶目っ気いっぱいに眼が小さくなるなど老化による外観の変化の話を、そしてご自身の豊かな声量を披露されるなどなど正に日野原先生の一人舞台でありました。もちろん拍手喝采なりやまずでした。
口は禍のもと~口腔から考える全身医療と題し興味深い講演がありました。
歯は他の臓器に比べ「歯がぬける」などのことから摂食、容貌に影響を与えるため老いを自覚しやすいといわれていることから1.口腔と全身の老化との関連性(食の楽し、経口摂食と心の健康・生命予後と喪失歯数のとの関連)2.歯周病と全身疾患との関連性(心血管系疾患、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、早産・低体重児出産の関連性)3.口腔と認知機能(認知症との関連性)の3つの分野から最新のトピックスの講演があり健やかに老いるための口腔の健康の重要性が再確認される内容でした。
他にも歯根歯周組織の再生、ドライマウスの講演など本当に盛りだくさんの3日間の総会でした。
2012年8月3日 8:02 AM | カテゴリー:医院からのお知らせ