歯周病とおなかの赤ちゃんの関係
「妊娠中は歯周病になりやすい」とか「出産後は歯が悪くなる」などと言われ、昔は「子供が一人 生まれると、歯が一本無くなる」などとも言われました。 歯周病というと「中高年男性がかかっている」とイメージされがちですが、歯周病にかかりやすいのは妊婦とも言われています。 実際様々な原因で妊娠中の虫歯や歯周病のリスクは高くなります。ご自身はもちろんおなかの赤ちゃんのためにも十分な口腔ケアが必要です。
妊娠性歯周炎
妊娠中は「つわり」による食べ物の好みの変化や歯磨きの困難さ、胎児の発育による食事回数の増加などにより口腔ケアーがおろそかになりがちです。また、歯周病を起こす菌の中には、妊娠中に出される女性ホルモンを栄養とする細菌が存在します。加えて、唾液の粘性も高まるため、お口の自浄作用低下し、歯肉の炎症や出血がおこりやすくなります。 これを妊娠性歯周炎と呼びます。
歯周病とおなかの赤ちゃん
歯周病の妊婦さんは、早産で低体重の赤ちゃんが生まれる危険率が4,5倍という研究報告があります。これは喫煙や飲酒の有無、年齢などに比べて圧倒的に高い数字です。妊婦さんが歯周病にかかっている場合、歯周病患部から毒素や炎症を起こす物質が血液中に入って全身に運ばれ胎盤に刺激を与えると、胎児の成長に影響を与えたり子宮の収縮を促して、早産につながれるとされています。
妊娠前からの歯周病の予防や治療は元気な赤ちゃんのためにとても大切なことです。
妊娠中の歯科健診
妊娠中は虫歯や歯周病になりやすくなりますが、その初期症状に自分からは気づきにくいものです。つわりが治まる4~5カ月に歯科健診を受けて、必要があれば、比較的体調の安定した妊娠中期に処置を済ませたいものです。
歯科治療に当たっては、母子健康手帳を提示して産婦人科医から注意を受けていることは、必ず歯科医師に伝えましょう。できるだけ楽な姿勢で治療を受け、体調や気分が悪くなったときは、遠慮なくスタッフに声掛けしましょう。
赤ちゃんが生まれた後も気を付けましょう
生まれたばかりの赤ちゃんお口には、虫歯の原因になる細菌(ミュータンス菌)はいません。が、周りの大人が使ったスプーンで赤ちゃんに食べさせたり、かみ砕いた食べ物を与えたり、またキスすることによって赤ちゃんに菌を移します。
赤ちゃんとスキンシップをとることが多い周りの大人は日々の口腔ケアーに気をつけなくてはいけません。母親に虫歯がある子供とない子供を比べると、子供が虫歯になる確率はこんなに変わるというデータがあります。(上右グラフ)
2015年6月20日 8:26 AM | カテゴリー:医院からのお知らせ