歯ブラシのこと
歯周予防には、歯口清掃が効果があり重要です。清掃には歯ブラシや歯間清掃用具が使われますが、今回は歯ブラシについてのお話です。
歯ブラシは、柄の部分と毛の部分と頸部からできています。
毛の部分は、一本が約200μmの太さのナイロン繊維が使われています。ちなみに、歯ブラシは毛が太くなればなるほど硬く、毛の長さが長いほど柔らかくなります。ナイロンは吸水性があり、歯に対する力のかかり方やしなり(弾力性等)もよい材料です。が、歯ブラシを使っているうちに繊維に目に見えない小さなひびができ、横からの力に対する「しなり」が低下します。肉眼的には、新しい歯ブラシの毛は透明ですが、使っているうちに白くなってきます。これは、小さなひびが増え透明感が無くなったことによるものです。歯ブラシの劣化を見極める指標になります。さらに劣化が進むと歯ブラシの毛先が開きます。新しい歯ブラシで磨いた場合のプラーク除去率を100%とすると、毛先が少し開いた状態だと81%、明らかに開いた状態だと63%と言われています。また、1カ月ほど使用すると、毛先が開いていなくても、毛の部分の適切なしなりが無くなりプラークを落とす力が弱まります。
日本では、年間1人当たりの歯ブラシの使用本数は約3.5本ですが、西欧諸国では20本程とかなりの差があります。
歯ブラシの使い方や硬さ大きさなどが歯口の清掃効果に大きな影響を与えますが、それとともに重要なのが歯ブラシの状態です。歯ブラシの使い方が適切でも、肝心の歯ブラシが痛んで機能しなければもともこもない訳ですから。
2015年3月8日 11:12 AM | カテゴリー:医院からのお知らせ