入れ歯の高齢者、なぜ減った?
高齢化が進む中、入れ歯の高齢者が減っているとのとのデータがあります。厚生労働省が6年ごとに調査する「歯科疾患実態調査」によると、2011年の調査では65~69歳で総入れ歯の人の割合は8.9%で、2005年調査の17.7%から大幅に低下し1割を下回りました。 75歳~79歳では3割、80歳~85歳では5割をそれぞれ下回りました。 厚労省は入れ歯の減少は予防歯科の普及が大きな要因と説明しています。80歳で20本以上の歯を持つ人を増やす「8020運動」の達成者は4割を超え、「自分の歯でしっかり噛んで食べ、味を楽しむ」という概念が定着し始めています。 歯磨きの習慣一つとっても1日2回以上歯をみがく人は30年前の4割から7割に増え、また歯みがき関連用品の売上は好調が続きます。予防歯科の普及は医療費抑制にも貢献するという話もあります。70歳で20本以上の歯を持つ人の年間医療費は60万円で0本の人と比べると11万5千円安かったと。加えて歯の数と診療報酬明細の調査によれば、歯が少ない人は肺がんや胃がん、脳こうそく、糖尿病などに医療費がかかっていたという調査結果です(兵庫県歯科医師会02~05年の調査)
また、例えば食道がんの手術で口の中が汚れていると気管へ通じるチューブから菌が侵入し肺炎になる可能性があります。術前に歯垢、歯石の除去とセルフケアーを行うことによって術後肺炎の発症率を20%から4%まで下げることができ結果的に医療費抑制に繋がります。もちろんしっかり噛めることは栄養状態を良好にし手術による外科的侵襲に耐え早い回復が望めます。
歯を失うペースが加速するのは50歳代から。この時期からの予防歯科が健康を保つうえでとても大切になります。
2014年8月11日 1:00 PM | カテゴリー:医院からのお知らせ